私たちの研究室では遺伝子発現における翻訳のしくみやncRNAの機能などについて研究しています

研究内容

近年のゲノムプロジェクトやトランスクリプトーム解析、RNomics研究の結果,原核・真核を問わずあらゆる生物のゲノムに予想をはるかに超える数のncRNAがコードされていることが明らかになりました。また、ここ十数年の間にmiRNAやsiRNA、piRNAといったわずか二十数ヌクレオチドしかない小さなncRNAが様々なタンパク質遺伝子の転写レベルあるいは転写後レベルでの発現制御に中心的な役割を担っていることが示されてきました。一方,Xist RNAやHOTAIRに代表されるような数千~数万ヌクレオチドの大きさをもつlncRNAがクロマチン構造の制御を介した染色体の不活化やインプリンティング、核内構造体の形成,巨大粒子の足場(scaffold)として働くことも明らかになりつつあります。

これらに対して中程度の大きさ(50-500  nt程度)を持つncRNA(intermediate-size ncRNA, is-ncRNA)についてはどうでしょうか?種類の豊富さについてはこのクラスのRNAも決して例外ではなく、miRNAやlncRNAと同様、あらゆる生物種に多様な配列、構造をもつものが多く単離されています。しかしながら、その大部分は細胞から単離されるに留まっており、高次構造の決定や分子機能および生理機能の解明、作用機序の理解には至っておりません。

私たちのグループではこの中程度の大きさをもつncRNA「intermediate-size ncRNA (is-ncRNA)」についてその構造および機能、生合成経路を明らかにすることで、それらが複雑な遺伝子ネットワークの中でどのようなシステムを構築し、他の機能性分子とともに細胞や個体の活動を支えているか、その普遍性と多様性を明らかにして理解することを目的として、以下のプロジェクトを行っています。

  1.線虫の機能RNomics

  2.線虫rRNA前駆体のプロセッシング

  3.マウス低分子RNAの機能と構造